コンビニとスマホ

月曜日22時にTV Tokyoで放映されている「未来世紀ジパング@8月19日」を見ていたふと思ったことをツラツラ。

放送されていたのは「日本式コンビニがアジアで革命」という内容で、インドネシアに進出しているコンビニ特集だった。


コンビニは時代とともに役割が変わってきていて、最初はスーパーの代替として登場し、宅配便の取次、公共料金収納代行、銀行ATM設置、
郵便ポスト設置等サービスは拡大され、今は顧客接点の「場」として機能している。

これって携帯の進化も似たような過程を踏んでいて、固定電話から移動電話へ。その後インターネットの役割を担い、音楽プレイヤー、
高解像度カメラの搭載等の機能が加わっている。

つまり、コンビニと一緒で役割が変化(機能拡張)している。

今じゃスマホがテレビのリモコンやクーラーの設定なんかも日常の道具として肌身離せないものとなっている。


そう考えると、新たなニーズを生み出すのではなく(新しい行動習慣を作ることは消費者の受け入れに時間がかかる)、
行動原理に則りスマホやアプリで届けられるサービスは何か?という観点で新しいサービスを生み出していくべきかも。


例えば、私は財布の中をかさ張らないようにしたいから、極力カード等を入れないようにしている。そーすっと、カード達は財布内の
ポジション争いでいかにして勝つかがイシューになるんだけど、スマホが代替する時代になった。

O2Oビジネスの台頭でポイントカードとかはスマホアプリに成り代わって来てるし、要は「消費者の行動原理に則りスマホで何が出来るか?」を
着眼点にしたら、ビジネスの可能性は広がるんじゃないかな

痛み止め(must to have)とビタミン剤(better to have)

以前リプレイスモデルとクリエイションモデルの違いを言及したのだが、少し考えが整理できたので備忘録のついでに記してみる。

顕在化している市場が抱えている問題点を、新たなスキームで解決するのがリプレイスモデル。
非効率な市場で、顧客はしょうがないから今あるサービスを利用している状態。
何か代替出来るサービスが無いか、顧客が探していたら大いにチャンスはある。


まだ市場として成り立っていなくて(つまり供給者がほぼ居ない)、頑張って需要をゼロから喚起するのがクリエイションモデル。
市場が本当にあるのか、不安で不安で仕方がないのがこれ。
顧客が問題だと認識していない、そもそも自分のニーズに気づいていないなど。


この2つの違いは痛み止め(must to have)とビタミン剤(better to have)の話しに当てはまる。
苦痛を伴っており無いと困るのが「痛み止め」、あるといいな!でもあってもなくても困らないのが「ビタミン剤」。
痛みってすでに問題を認知しているから、苦痛から解放されたくなるのでニーズではなくて需要となる。


| マネタイズを考える

フリーミアムや広告モデルなど数パターンかあるが、顧客の課題から見てみるとマネタイズのポイントは2つあると思う。

□恒久的に問題が発生する
毎月起こる問題、例えば仕分けや帳簿などの会計は企業がある限り半永久的に問題を抱えている。
そのため、面倒な会計作業はアウトソーシングや自動化出来ると嬉しい(ただし人的リソースの少ない企業が対象)。

なので、月額の課金モデルは非常にフィットするし、且つデータを蓄積するストックモデルは会計サービスと相性が良い。
データ蓄積型の場合スイッチングコストも高まるので、エントリーストラテジーは無料から入り、途中から有料化にするという
やり方がベターだと思う。


□単発的に問題が発生する
トランザクション毎の課金形態となる。
今プレイヤーがしのぎを削っているイベント系サービス(集客手段、決済、出席者管理などの問題が発生する)や決済系サービス等が該当する。
トランザクション型サービスは顧客が顧客を呼ぶモデルだと、トランザクション頻度が高まって良いのではないか。


データ蓄積☓ストック型のビジネスモデルは理想だなーと、最近色んなビジネスモデルを研究していて思う。

それとビジネスモデルを考える際にスキームありきからスタートする場合は、必ずしも顧客の課題を解決するベストなものと限らない。
サブスクリプションが流行っているからといって、(商材にもよるが)顧客が定期購買を求めているわけではない。



ところで、この前アメリカのVCと話しをしたのだが、彼らはリプレイスモデルよりクリエイションモデルに投資する傾向があるようだ。
理由は大化けするのが後者の方が可能性として高いらしい。
FacebookTwitterに初期投資するのはそういう理由があるみそうだ、なので痛み止めよりビタミン剤に魅力を感じるとのこと。

リスクを取れる人材

今までスタートアップとベンチャーの違いがイマイチ腑に落ちなかったんだけど、
4月4日(木)22:00〜 に放送されたカンブリア宮殿を見て理解した(出演された孫泰蔵さんは孫正義氏の弟)。

起業するためのコストが下がり、カジュアルな起業スタイルがスタートアップなんだな、と。
大義名分や大掛かりに始めるのは以前の起業スタイルで、今は身近な誰かの為にサービスを通して問題解決や新しい体験を提供するという
動機で始めていると仰っていた。

なるほど!


大企業で決まりきった業務フローに従事するより、不確実な中でスキーム設計と事業構築をする仕事した方が絶対面白いと思う。
スタートアップって気重にやるんじゃなくて、フランクな起業スタイル。失敗を経験として吸収出来る人材なら、リスクでも何でも無い。
ただ、失敗が烙印のように評価される人には向いていないんじゃないかなとも思えた。

失敗 = 経験とは、不確実性を伴うチャレンジをした証拠。そのためには仮説思考と検証作業が必要。
っで、不確実性が多い新規事業には仮説検証のサイクルを回せる能力が求められるし、
定型業務しかやってこなかった人にはこれから、厳しい時代になるのではないだろうか。
つまり、スキルはコモディティ化することを意味する。



| リスクをリスクと思わない人

将来に対する不安は誰にでも平等にある。安定的な仕事と収入、家庭、持ち家…
経済環境はガラリと変わっているのに一昔前の価値観を追い求めている矛盾はある。
→ この点については人それぞれの価値観なのと、日本としての国家維持という観点では子供が出来たことに越したことはないので、批判は受け止めます
不安というのは先を見据えた時に不確実な要素の度合いが強く、アンコントローラブルだと認識しているから生まれるのだ。


大企業に居たら、事業ポートフォリオさえしっかりしてたら安定である。
(投資サイクルが回っていのると新規事業が生まれて既存事業でキャッシュが稼げているという意味で)

理由は比較的優秀な人が多く働いているからだ。給与もいいし、仕事の出来る人が集まるから自然と切磋琢磨される環境になる(…はず)。

そのため、将来CFのボラティリティが低いので収入も見込める。キャッシュが入るのが前提なら将来設計も立てられるし、金銭的な不安は無い。

一方将来CFが安定している事をリスクと考える人がいる(極少数派)。
そのタイプは仕事の対価に給料を得るという考え方が無く、サラリー志向じゃない。
能力に見合った仕事をすることを前提としないので、与えられた仕事をこなす感覚ではなく、自ら価値を創り出すことに意義を求めている。

価値創造を出来る人にとっては安定、つまり安全レールに乗せられて他人の意図通りに生きる事が家畜だと認識しているし、
自分で自分の人生をコントロール出来なくなること程、つまらないものは無い。
社会に価値を提供して、認められると会社員をしているよりも莫大な報酬(金銭面以外にも)が返ってくるのは自明の理である。



| 人材のコモディティ化

上述したように定型業務に勤しむ人と、新しいスキーム(価値)を創り出す人とでは市場価値が全然違う。
優秀な人ほど後者なのは言うまでも無いし、転職市場で重要視される「再現性」という意味では如何様にも応用が効くタイプだ。
(転職というキーワードを出したのは起業にチャレンジして、失敗したとしても市場価値が高まる傾向があるため)

(様々な切り口はあるが)個人的には優秀と呼ばれる人には2つのタイプに分けられるかなと思う。
・業務処理能力が高い
・新しい「何か」を生み出す人


昔のように経済が一定成長をする時代ならオペレーションが重視されたので、業務処理能力が高い人は評価されたと。
一方で今の時代は継続成長するには変化に対応する能力も求められ(ラーニングアジリティ)、定型業務だけに従事している人には
キツイ時代になってくるはずだ。その理由はスキルの代替性が高まり、極論を言うと誰にでも出来るようになるような仕組みを
考える人が価値を生むからだ。


私はスタートアップの世界に飛び込んで、常々感じているのが
「何も無いところから何かを生み出せる事はその人自身が価値ある存在だ」と思えるようになった。


「ゼロから1へ」何かを創り上げた人は仮に失敗したとしても、その後のキャリアが面白いほど評価を受けているのを何人か知っているので、
どんどんチャレンジすべきだ。
特に自分で自分の人生をコントロール出来る人は尚更だと思う。