問題提起とソリューションのズレが起こした、ミクシィのとても良い失敗事例

ミクシィ新規事業「Petite jete」半年で終了 「コンセプトが受け入れられなかった」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1301/21/news079.html


去年からミクシィ社が新規事業をどんどん初めて、少ない人数で新しいサービスを素早く作っていくことが奨励されていた。
その第一弾の事業が「Petite jete」だ。
爆速中のYahoo!DeNAなんかもこのような動きが盛んになっており、私はこれを「大企業のスタートアップ化」と呼んでいる。

顧客開発モデルやリーンスタートアップの浸透により、Fail Fastという考え方も当たり前になってきて、短期間でユーザーが増えなかったらすぐに畳む。
このような流れは新規事業の意思決定に半年〜1年費やしていく、今までの大企業の在り方そのものを変えていく新しいマネジメントであると思う。
組織の最適化をすることと逆行しており(正確にはどちらにも力を入れていると思うけど)、大企業がスタートアップの集合体化していると
いっても過言ではない。



このニュースを見た時に感じたのは、大企業としてのスタンス変化とサービス設計の罠である。


記事によると

“ミクシイ米国本社から仕入れた「米国でサブスクリプション(定期購入)コマースが立ち上がり始めている」という情報だった。 

〜中略〜 

SNSmixi」と相性が良く、ユーザーの悩みを定期購入で解決できる商材の可能性を探る中、「20代女性向けのオフィスカジュアル」という
コンセプトが浮かび上がってきた。”

…..とある。


ミクシィの会員を活かしつつ、今流行っているサブスクリプションの新スキームでサービスを立ち上げたようだ。
確かにアセットを活用して、サービスを設計するのは理にかなっている。
SWOT分析から導き出した“S(会員) ☓ O(サブスクリプションが流行っている)"タイプのビジネスだ。


サービスを閉じた理由は「思ったほど市場規模が大きくなく、市場を拡大させるにしても、そのスピードはミクシィが望む速さではなさそう」と
判断したそうだ。外部ネットワーク性が働くモデルと比較すると、どうしても成長のスピード感は見劣りするだろう。


| 問題提起とソリューションの不一致

私がこの事業撤退の意思決定で素晴らしいと思ったのは

「消費者が洋服を買う要因は商品の魅力であること。Petite jeteが提案するファッションのテイストが好きで購入してくれている」と
分析が出来ている点だ。

サービスコンセプト(問題提起)である「毎日仕事で着ていくオフィスカジュアルを定期購買できる」というのはソリューションでは無かったと
言い切っている。


よく我々スタートアップがやりがちな問題提起とソリューションが微妙にズレており、中々サービスがドライブしない例と全く同じである。
そのためピボットをして、ソリューション方法を変えるというのはよくやるが、ミクシィの場合はそれをやらなかった。

“ラインアップを増やしてファッションECサイトに寄せていけば売れるかもしれないが、それをミクシィがやる必要があるのかと考えると疑問が湧き、
続けないという判断をした”と記事には書いてある。
何故このビジネスをミクシィがやる必要があるのか、を追求した結果やる必要性を感じなかったと結論づけている。

0からサービスを立ち上げる時、何故我々がやるべきなのか(確かドラッカー先生もこれが重要だと言っていた気がする)。
問題提起をして、解決された後の状態/ビジョンを示すストーリーというのはとても大切なものである。
それと合致しなかったらやるべきでない、という判断を大手企業でもした。


市場はあるにも関わらず、消費者行動のファクターと問題提起及びソリューションが微妙にズレた、とても良い失敗事例と言える。
流行っている新しいスキームがフィットすると勘違いをして、罠にハマった教訓を得た。